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DESIGN・AD・BRAND

BtoBコミュニケーションの新たな扉は開けるか。「Pulse」CM制作の裏話

Written and Artwork by:

Ken Kasei,

Naoki Aoyama,

Yusuke Mochizuki

on Mar 2, 2021

タクシー広告からテレビCMまで、BtoBのデジタルプロダクトに関連するマーケティング・コミュニケーションを目する頻度が高まっています。

私たちウォンテッドリーもこの2021年の2月、エンゲージメント領域でモチベーションマネジメントを担うプロダクト「Pulse」のCMをタクシー広告を中心に放映開始しました。今回は、クリエイティブ集団のPARTYをパートナーに迎え制作したCMの裏側をご紹介します。

▼Pulse CM「さすが!」編

▼Pulse CM「調子どう?」編

フォーマット化の潮流にあえて逆行する

BtoBプロダクトの動画広告は、数少ないモデルケースをもとに表現手法のフォーマット化が急速に進んでいる分野です。そのフォーマットとは例えば、著名俳優の演じるITリテラシーの高くない社内決裁者に、若手社員が啓蒙役としてプロダクトの利用を促すという一連の芝居形式のこと。

こうしたフォーマットが生まれた背景には、課題訴求をフックに視聴者にプロダクト認知を図るというマーケティング戦略があるのでしょう。しかし、同じセグメントをターゲットにしたCMが横並びで流れるタクシー車内において他社と似たようなフォーマットを用いてしまうと、商品の差別化にいたらず認知獲得に失敗してしまう可能性があります。

クリエイティブの観点からみても「新しい商品のプロモーションに新しい表現を用いない」という選択は、Wantedlyのプロダクトに本来備わっているイノベーティブな性格に反するものです。そこで私たちは、他社とは一線を画すストーリーと映像表現を目指すことを大前提にCMの企画・制作を行うことにしました。

クリエイティブ・ジャンプを可能にした「扉」コンセプト

見覚えのあるオフィス風景にトラブルを抱えた上司という芝居がかった設定を用いずに、自分ごととして課題を訴求するにはどうすればよいでしょうか。一つの解決法が、ユーザーの証言をもとに役者があたかも第三者(ターゲット)のように振る舞う、テスティモニアル広告と呼ばれるアプローチです。しかしこれもまた新しい映像表現を目指すという今回の目的から外れるため不採択に。

ターゲットの”日常”を芝居で再現するというセオリーから外れ、虚構であるということを明確にしつつ、リアリティを感じさせる表現はないだろうか……。コンテ検討を通じて表現のエッジを模索し続ける私たちがたどり着いたのが、巨大な「本音の扉」の向こうで社員の本音が聞けるというアイデアです。

ディレクターによる演出コンテ

虚構の強度を通じて共感可能なリアリティを生み出すというアプローチは、「扉」そのものの造形にも活かされています。扉の向こう側にあるのは、本来なら聞くことのできない・聞いてはいけない心の声。気軽に開けそうな造りのオフィスドアでは表現が成立しないため、あたかも神の手によって作られたような重厚感を持たせました。

同時に、扉を開いた人物たちが縮尺の狂った世界を歩くという演出を追加。不思議の国を旅するアリスのように、人物たちの知覚する「現実」を異化することで隠された本音の持つインパクトを引き立てます。

またコンテ作成と並行して、事前に集まったターゲットインサイトを定量的に実証するためのアンケートを実施。そこで集計されたリアルな数値をクリエイティブに添えることで、「扉」の向こうにある社員の本音に対して客観的なリアリティを持たせました。

表現の細部にこだわる

こだわったのは扉のデザインだけではありません。シュールレアリスティックな表現を用いつつも、それがターゲット企業で実際に起こっている問題であることを強調するためにオフィスシーンは実在のオフィスで撮影を行いました。

ロケ地となるオフィスの選定にあたっては、典型的な日本企業のオフィスとして記号化されたセットを用いるのではなく、Wantedlyのメインユーザー層であるWeb系企業を想定し、自由でクリエイティブな働き方が推奨されている雰囲気を重視しました。

CEO/CFO/CMOとして登場するキャラクターも、「役員・上司」としての記号性とキャラクター感のバランスを取ることを意識してキャスティングとスタイリングを行いました。各人のワードローブに共通で黄色のアクセントカラーを取り入れるなど、今後のシリーズ化を見越して愛嬌が感じられるキャラクターとして描いています。

新しい表現を取り入れることで、ポリシーに立ち返る

新しい表現へのチャレンジを最優先した本CMですが、同時に細心の注意を払ったのがWantedlyブランドとの整合性を取ること。とはいえ、Wantedlyのデザインポリシーにおいて「ブランド表現を守ること」は「大胆なクリエイティブジャンプを用いる」こととまったく矛盾しません。

Wantedly社内においてクリエイティブの挑戦を可能にしているのが、「知的・大胆・洗練」というデザイン指針の存在です。つまり、大胆なアイデア・コンセプトを用いることなしにはWantedlyらしい表現とは言えず、細部設定の磨き込みにより洗練された表現に落とし込まなくてはWantedlyのデザインクオリティを満たすとは言えないのです。

私たちはこのデザイン哲学に忠実に、新しい「扉」を勇敢に開くことでWantedlyブランドを発展させていく仲間を探しています。Wantedlyのデザインポリシーについてもっと知りたいというデザイナーの方、まずはお話しましょう!

スタッフ(Wantedly)

  • 望月勇輔(Creative Director)
  • 青山直樹(Chief Design Officer)

スタッフ(制作)

  • Creative Director:眞鍋海里(PARTY)/ 高宮範有(I&CO)
  • Planner:中野達也(PARTY)
  • Business Producer:田中正宏(PARTY)
  • Producer:小林勇介(PARTY)/ 犬飼 達也(HATCH)
  • Director:伊勢田 世山(GLASSLOFT)
  • Photographer:橋本 英之(hoshino office)
  • LIGTHING DIRECTOR:前島 祐樹
  • ART Designer:延賀 亮
  • Stylist:赤石 侑香(tsujimanagement)
  • Hair & makeup:木内 真奈美
  • Casting:ヤマウチ トモカズ(kosei)
  • Narrator:上田 星子(aksent)
  • Offline editor:山口 沙文
  • Online editor:桑原 秀夫(GZ tokyo)
  • Music:まつき あゆむ
  • Cast:ニクまろ(JFCT)/ 蒲生 純一(GMB Production)/ 工藤 未咲(Vivienne)/秋本 雄基(LIBERUS)/ 和知 龍範(FOSSETTE concierge)/佐々木 梓(CENTRAL)

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加勢 犬
編集者
「30歳新卒」、アカデミックキャリアをかなぐり捨ててベンチャーへ。 東京大学教養学部卒。東京大学大学院総合文化研究科修了。同大学院後期博士課程で19世紀から20世...
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青山 直樹
Designer, CDO
プロダクトデザイナー / アートディレクター、Wantedly, inc. CDO 大学にて建築、インダストリアルデザインと学んだ後、モバイル端末メーカーにてブラ...
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望月 勇輔
Creative Director
Creative Director。WEB/広告制作会社、外資系広告代理店クリエイティブ等を経て、2020年よりウォンテッドリーのCommunication Des...
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